ミッドナイト・バス

 本の話

 

最初にミッドナイト・バスなる言葉にひっかかったのは三年前のある日の本屋だったと思う。

何気なく手にしたその文庫本の表紙に描かれていたのは夜、高速バスの運転手がバスのそばで荷物を受けとって去っていくお客さんを見送っているシーンだった。

別に高速バスに思い出なんてなんにもないんだけど1ページ目を読んでみて好きそうだったので購入した。

作者は伊吹有喜さん、本のタイトルは「ミッドナイト・バス」。

(とっても失礼な話なんだけど)読書が趣味!なんて口が裂けても言えない自分には全く知らない名前だった。

お話は主人公が運転する深夜バスに離婚した元妻がお客として乗ることから始まる。

そこからの家族の再出発の物語だ。再出発というとエンディングがなんだか想像できそうなんですが…

…このブログを読んでこの本を手に取ってくれる人がいるというごくごくごく小さな可能性を考慮して内容に関してはそんなに話せない笑

途中で主人公のバスに乗るお客さんの短い話がいくつか挿入されてるんだけどそれだけでも満足できた。深夜バスや高速バスを利用しないという人でも、田舎から東京に出てきた人なんかには特に共感したりできるんじゃないかな。

登場する人たちが不器用というか気を遣いすぎな人だらけですっごくもどかしい。でもそれぞれの不器用になったり気を使ってしまう理由とかが実際にありそうでそのもどかしさがとてもよく分かる。

相手が大事であればあるほど動けないよね、悩むよねって。

相手の為を考えるとなんでもかんでも出来ない、してあげられない。

そんなふうに相手を思う。決して見えることはないけど確かにある。

とても幸せな気持ちになれる一冊だと思う。

 

それから伊吹さんの作品は全部読んだ。有名なものだとミッドナイト・バスよりも先に映画化されていた「四十九日のレシピ」、宝塚歌劇団によって舞台化された「カンパニー」になるのかな。自分は食いしん坊だから「BAR追分」すごく好き。「撫子物語」も早く新刊読みたくて仕方ない。

伊吹さんの作品はどれも読み終わった後は主人公や周りの人のその後がとても気になる。つい想像してしまう。きれいなハッピーエンドというよりも再出発って感じの終わり方が多い(気がする)。自分は空想や妄想がとても好きなのでそういうのも楽しい。

実際の人生は死ぬまでずーっと続いてるんだけど、毎日毎日違った日や時間の始まりなのかもしれないって思える。嫌な事や問題があったとしても仕切り直してみるか…ここからまた頑張ってみようかな…なんて少し前向きになれる。

そんな気にさせてくれる素敵な作品ばかり。

 

話すのがとても苦手だから良さが伝わるか分からないけど、少しでも知ってほしかったのでいっぱい書いてしまった…

 

ミッドナイト・バス」好きすぎて東京国際映画祭で映画が上映されると知って速攻チケットを申し込んで舞台挨拶なるものに初めて行った。主人公は原田泰造さんだった。

泰造さんめちゃくちゃかっこいい笑

それだけは言いたかった笑

 

 

歌の話

 

自分で好きなもののレビューをネットで検索して読むことが多い。

他の人がそれのどこが好きなのかということを知るのが好きだからだ。

自分と同じところが好きだと自分が少しでも理解してもらえたような気がして嬉しいし、違ったところをほめているレビューを見てそこに注目しながらそれを体験するのも新鮮な気持ちになれる。

なので伊吹有喜さんのミッドナイト・バスのレビューをネットで調べていた。

おんなじタイトルの曲に出会った。

タイトルは「ミッドナイト・バス」、歌っているグループの名前はラッキーオールドサン。

(またまた失礼な話なんだけど)ラッキーオールドサンというアーティストについて何も知らなかった。

自分は少し寂しい感じがする曲が好き。ノスタルジーなのかな?よく分からん…

大好きなアニメのエウレカセブンのエンディングの「秘密基地」なんか最高で。以前このブログで紹介したHomecomingsの「HURTS」もそうだ。失われたものに思いを馳せるという意味ではBABYMETALがこれでもかと見せてくれる燃える鋼鉄魂もそうなのかもしれない(この文章を書きながら自分がなぜBABYMETALで涙を流すかやっと説明がついた。自分には燃える鋼鉄魂なんてもうないんだ)。

音楽の話をよくする友人にラッキーオールドサンの「ミッドナイト・バス」を勧めたら「HomecomingsのHURTSに似てるね」ぐらいの感想しかもらえなくて少し寂しかった。

でも、寂しい感じがする曲が好きとか言ってる人がそう感じて勧めてるんだからそりゃそうか。それでいいんだ笑

ラッキーオールドサンは日本語で歌う。

素朴な声で。素朴な演奏で。それも結構まっすぐな歌詞で。

生まれ育った町を離れて大人になったおじさんは寂しくなる。

なくしたものはいっぱいあるかも。

でもこの曲があるなら最短距離で、闇の中でも行こう。

って思える。っていうかそういう歌詞だ。

大好きな。

なんでミッドナイト・バスなのかはよくわかんないけど。夜も走り続けるからかな…?

 

 

自分で運転してのドライブ(レンタカーで)すごく好きなんだけど

お金の節約にもなるし深夜バスにもっと乗ろう

親孝行しようかな